「未婚化の原因」を問われ、資料を探して「少子化の原因」を読み出す
実際、政府の説明はコロコロ変わるのだ。2月6日の衆議院予算委員会では岸田氏は「粗い試算」と断わりながら「(徴収総額が1兆円に達する)2028年度には、加入者1人あたりの拠出額は月平均500円弱」と答弁したが、加藤氏がその前段階の2026年度と2027年度の数字(それぞれ300円弱と400円弱)を明らかにしたのは8日も経過した2月14日になってからだ。
さらに8日後の2月22日の加藤氏は、1人あたりの負担額が「支援金の拠出が月額で1000円を超える人がいる可能性はありうる」と答弁して議場は騒然。加入する医療保険制度や所得に応じてどれだけの幅が生じるのか、その見通しもなかなか明らかにならない。
当の担当大臣、加藤氏の“力量”にも疑問符がついている。3月4日の参院予算委員会で未婚化の原因を問われた加藤氏は、「あの……未婚化の原因につきましては、えーと……」と、約30秒間にわたって沈黙。少子化対策の前提となる初歩的な認識すら自分の頭の中になかったのか、答弁席で資料から該当の部分を探し続けた。
しかも、「見つけた」とばかりに読み上げ始めたのは、なんと「未婚化の原因」ではなく、「少子化の要因」。答弁資料に列挙された「経済的な不安定性」「出会いの機会の減少」など7つも8つも棒読みされては負担を強いられる国民はたまったものではない。