招致段階から建設費がはね上がった「国立競技場問題」の再現に
加藤氏は宏池会会長だった加藤紘一の三女。岸田氏にしてみれば宏池会の血の濃い派内の“身内”に肝いり政策の実行役を委ねたかたちだが、国民負担をめぐる側近閣僚の迷走は、政権の致命傷につながることがある。
たとえば第2次安倍晋三内閣で東京五輪のメーン会場だった新国立競技場の建設計画の実行を委ねられた下村博文・文部科学大臣(当時)。招致段階では1300億円だったものが、下村氏の担当下で建設費はことあるごとにはね上がり、最終的には2520億円まで膨れ上がって批判が集中した。土壇場の2015年7月、安倍氏自ら裁定して白紙に戻したが、直後の8月の内閣支持率は、最低の37%(NHK)まで落ち込んだ。
奇しくも「政治とカネ」をめぐる問題で、岸田内閣は内閣発足以来の支持率低迷を続ける。新たな側近の火種は、政権の致命傷ともなりかねない雲行きだ。