政府が少子化対策の財源とする「子ども・子育て支援金制度」をめぐる政府の説明が迷走している。「実質負担ゼロ」と強調してきたが、説明は二転三転。野党の追及を受けパニック気味になった少子化対策担当大臣の加藤鮎子氏の答弁もあいまって、岸田文雄首相肝いりの「次元の異なる少子化対策」は、裏金問題に続く政権の火薬庫になりかねない状況だ。
支援金制度は、企業や個人が支払う公的医療保険に上乗せして国民から拠出金を徴収し、財源に充てる仕組みだ。政府が徴収する額は1兆円。制度開始の2026年度は6000億円からスタートして段階的に引き上げる、とされている。
3月12日の記者会見で法案審議の進め方について問われた加藤氏は手元のメモに目をやりながら、「社会保障制度の改革等によって歳出改革効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を講じる」と述べ、「全体として実質的な追加負担は生じない」とあらためて強調した。
支出を減らし、本来ならば相当分の医療保険料の減額に充てられる分を「支援金」に回すから、保険料を支払う国民に新たに負担が生じるわけではない、という説明だ。だが、社会保障改革がそんな首尾よく進む保障があるわけもなく、実質負担増になる疑念は膨らむばかりだ。
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