「親抜きのLINEグループ」で危険回避
横井氏が説明する。
「Aさんのようなケースは、わりと“あるある”なんです。そもそも歳をとって弱ってくると、将来に対する不安や、思うように体が動かないなどの不満が募るものです。すると近くにいる人間に当たりたくなる。逆に、時々来る息子は溺愛するんです。さらに、『最近、Aは文句ばかり言う』とか、『あの子はあたしの年金が目当てなんだよ』など、一番世話になっている者の悪口を吹き込むことさえある。Bさんの態度は、そうした母親の一言が原因となっている可能性もあるでしょう」
親の認知症が進んでくると、「お金を盗られた」と言い出す場合もある。“物盗られ妄想”と名前が付くほど、よくある症状とされる。本当は自分がお金をしまった場所を忘れているだけ――といったことも少なくないが、一番近くで世話をしてくれている人が犯人扱いされがちなのだという。
「それをそのまま、たまに来る別の兄弟姉妹に吹き込んだりするので困った事態を招きます。認知症がもっと進むと『ご飯を食べさせてくれない』と訴えたりすることもある。これも、食べたのを忘れているだけであることが多いんです」(横井氏)
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