「通学区域」が定められている学校も多い
では、なぜ、このようになったのか。
実は私は1月末、ある塾関係者から「今年の筑駒は少し様相が変わるはず。結果、他の学校がそれに影響を受けるだろう」という予想を聞いていた。なぜなのか。その理由は「通学区域が広がるから」であった。
私立中高一貫校は、遠隔地からの通学者も多いという。桜蔭の卒業生がいう。
「中学3年の修学旅行で東北に行った時に、同級生が『あそこが私の家!』と一軒家を指さしたんですよ。東北新幹線で東京まで通っていたんでしょうね」
この話を私は複数の桜蔭出身者から聞いた。当時、「あの子、新幹線で通っているみたい」と噂になったのだろう。桜蔭の公式サイトを見ると、「通学時間は1時間位が望ましい」とあるが、当時は遠距離から通っていた生徒もいたのかもしれない。
中には「通学区域」を明確に指定している学校もある。雙葉の場合は、自宅から学校まで90分以内であることが出願資格となる。
筑駒にも「通学区域」があり、どの地域かが具体的に提示されている。この区域が2024年から拡大されたのだ。
幅広い地域から優秀な生徒を集めたいという意向か
なぜ通学区域を広げたのか。
「少子化の中で筑駒も危機感があるからでしょう。幅広い地域から優秀な生徒を集めたいということです」(小林さん)
以下が筑駒の通学区域で、○が付いているのは2024年から追加されたところだ。
【東京都】
23区、昭島市、稲城市、清瀬市、国立市、小金井市、国分寺市、小平市、狛江市、立川市、多摩市、調布市、西東京市、八王子市、東久留米市、東村山市、日野市、府中市、町田市、三鷹市、武蔵野市
【埼玉県】
○上尾市、朝霞市、川口市、○さいたま市(浦和区、大宮区、北区、桜区、中央区、西区、南区)、○志木市、○草加市、○所沢市、戸田市、新座市、○富士見市、○ふじみ野市、○三郷市、○八潮市、和光市、蕨市
【千葉県】
市川市、 浦安市、○習志野市、○船橋市、○松戸市
【神奈川県】
○厚木市、○海老名市、川崎市、相模原市(南区、中央区、緑区の相原・大島・大山町・上九沢・下九沢・田名・西橋本・二本松・橋本・橋本台・東橋本・元橋本町)、○座間市、大和市、横浜市(青葉区、旭区、○泉区、神奈川区、○港南区、港北区、瀬谷区、都筑区、鶴見区、○戸塚区、中区、西区、保土ヶ谷区、緑区、○南区)
筑駒は世田谷区池尻にある都会の学校で、渋谷駅から東急田園都市線で1駅の池尻大橋駅、もしくは京王井の頭線で2駅の駒場東大前駅を使う生徒が多い。追加された地域は埼玉や千葉、神奈川の筑駒から離れた地域だ。