バブル超えを記録した空前の株高や新NISAの登場で、かつてないほど高まる投資熱。だが、付け焼き刃の知識で投資に手を出すと火傷しかねない。資産800億円、著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』もベストセラーとなっている伝説の投資家・清原達郎氏が、その投資術を指南する。【第3回の第3回。第1回から読む】
地球にやさしい投資(ESG)はナンセンス
近年、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取った「ESG投資」が盛んに喧伝されている。
企業が長期的に成長するには経営におけるESGの3つの観点が必要との考えに基づき、二酸化炭素排出量の削減や男女平等、情報開示などに積極的な、いわゆる“地球にやさしい”企業への投資が後押しされているが、清原氏は「ESG投資はナンセンス」と断言する。
「ガバナンスには意味があると思いますが、環境問題というのは極めて複雑です。そもそも投資顧問会社が口を挟むべきテーマなのでしょうか。
インデックス投資の普及によって出来の悪いファンドマネージャーの仕事がなくなり、雇用対策のためにパフォーマンスを競わなくてもいいESG投資にしがみついているとしか思えない」(清原氏・以下「 」内は同じ)
金融庁が猛プッシュする「インパクト投資」(収益を追求しつつ、持続可能社会を目指す投資)にも否定的だ。
「投資顧問会社が手を替え品を替え、個人投資家から手数料を巻き上げようとしているように見えます。個人的には株式投資はリターンだけを目指すべきだと考えています。社会貢献がしたいのなら、投資による儲けの一部をNPO法人などに寄付すればいいだけの話です」