注目すべきは管理会社ではなく管理組合
マンションの資産価値を維持するには、どのような条件が必要でしょうか。私たちはつい、メディアなどで特集される「マンション値上がり率ランキング」などに目が行きがちです。しかし、そのような瞬間風速として金銭的価値以外の、居住・所有することで得られる効用価値こそ、結局は中長期的な資産価値の維持・向上につながると、私はこれまでの経験から確信しています。
マンションの資産価値を保つためによく言われるのが、マンション管理会社のグレードです。なるべく大手の管理会社を選べ、などと言われますが、忘れてはならないのは管理する主体は、管理会社ではなく管理組合であることです。
管理会社は組合が提示した管理項目を忠実に実行することが業務であり、大手の管理会社だからといって、コストのかかる管理をリーズナブルに実施してくれるわけではありません。大手なら提案能力があるだろうなどとの思い込みから、あらぬ期待をしがちですが、余計なことは口出ししないのが管理会社の鉄則です。
新築時に計画・設定されたメニューを繰り返し実行することが大切であると考えがちですが、数年経って不要になったサービスはやめる、必要なサービスと入れ替えるなどの判断は組合がしなければなりません。
特に超高額マンションになると、管理会社による「ひと」の手を借りたサービスが売りになっています。しかし「ひと」の手を借りることは、そのぶんコストがかかることを意味するわけで、AIなどの機能を有効に使って管理コストを抑えていくことも、これからの時代には有効でしょう。
修理・修繕も重要です。良いマンションほど、マンション内の設備機器を適切な時期に修繕し、新しいものに更新しています。更新する際に重要なのは、今までとまったく同じ設備に入れ替えるだけでなく、その時点で必要な機能を見極めて、時代に即した設備機器に更新していくことです。
その際にも、組合内で管理会社を使いこなしながら、適時に適切な資料を提出させ、よく議論をしたうえで更新することで、資産価値を維持していくことができます。