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【大前研一氏が考える沖縄基地問題】佐藤栄作元首相の“欺瞞”を白日の下にさらすことで見えてくる解決の糸口

 佐藤首相とアメリカの密約はまだある。1967年に打ち出した核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」の「非核三原則」だ。これが評価されて佐藤首相は退陣後の1974年にノーベル平和賞を受賞したわけだが、1981年にライシャワー元駐日大使が「日米間の了解の下で、アメリカ海軍の艦船が核兵器を積んだまま日本の基地に寄港していた」と発言。1999年には「1963年にライシャワーが当時の大平正芳外相との間で、日本国内の基地への核兵器の持ち込みを了承した」というアメリカの外交文書が見つかり、先の発言が裏付けられた。

 さらに、沖縄返還に合意した1969年の日米首脳会談の際、佐藤首相とニクソン大統領が「重大な緊急事態」では事前協議の上で沖縄に核持ち込みを認めるとした密約の合意文書に署名していたことが2009年に明らかになった。佐藤首相は、まさに“欺瞞のデパート”だったのである。

もし私が玉城知事なら

 話を戻そう。防衛省が辺野古に建設している代替施設は、軟弱地盤のために難工事が予想されている。完成までに少なくともこれから12年かかり、地盤改良できたとしても、米軍への提供は2030年代半ば以降になるという。

 だが、代替施設が完成しても、実際にそれを米軍が使うかどうかはわからないと思う。極東をはじめとするインド太平洋地域の軍事情勢は冷戦終結後の30年で大きく変化し、台湾有事を含めた中国の軍事的脅威が高まっているからだ。

 たとえば、日米両政府は2012年、沖縄駐留の米海兵隊について、沖縄に約1万人を残す一方、グアムに約4000人、ハワイや米本土などに約5000人を移すことで合意した。

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