3月に日経平均株価が史上最高値を更新し、依然として日本株は高水準での推移が続いている。大企業を中心に賃上げムードも高まり、実質賃金の上昇も見込まれている。いよいよデフレの脱却が近いといえるのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが直近の経済状況や株価動向をもとに、これから投資家が取るべきスタンスを考察する。
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3月に入り、日経平均株価が史上最高値を更新しました。年始のアナリストたちの市場予想を大きく上回る、あまりにも早い史上高値更新に「過熱感」を懸念する声も上がっています。とはいえ、今の投資家は、この株高をきっかけに、長年にわたって染み付いたデフレマインドを振り払う必要があると考えています。
デフレマインドを転換する時
日本は「失われた30年」と呼ばれるほど長い期間、景気低迷が続き、デフレが常態化してきました。2002年に社会人として働き始めた私も、この「失われた30年」の中でデフレマインドが染み付いてしまっています。
ここ数年の「インフレ」は、生活費の上昇による景気の悪化や、コスト上昇による業績の悪化というイメージが強く、株高をポジティブに捉えることには抵抗がありました。しかし、物価上昇を価格に転嫁させる企業が増えてきており、主要企業が徐々にデフレマインドからインフレマインドへの転換を進めているように見えます。
また、最近の春闘結果が報道されていますが、主要企業の間で高い賃上げでの妥結が相次いでいます。物価上昇が企業の業績を悪化させるものではなく、価格転嫁と賃金上昇の両立を実現し、好循環が起こり始めているとの見方が強まっています。
今後、中小企業までこの賃上げが浸透していくかどうかが、日本経済浮沈の鍵となるでしょう。私たち投資家が今回のような株価上昇を真のチャンスに変えるには、「デフレマインド」を「インフレマインド」に転換することが求められています。