今年の米国経済について、市場では利下げを確実視する声も出ていたが、現在そうした観測が後退している状況だ。その背景には何があるのか。また、史上最高値を更新した日本株の先行きをどう見るか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏がAIに着目しながら解説する。
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年始からここまでのマーケットを振り返ると、昨年末には多くの人が予想もできなかったような相場となった。
昨年末時点で、今年のアメリカは「利下げの年」になると想定されていた。これは2022年からアメリカのインフレ対策として歴史上最も激しいペースで行ってきた利上げが終了し、今度は利下げを行うことで平常運転に戻すという考えであった。利上げ政策の結果、アメリカの中小金融機関の破綻が相次ぎ、金融不安の再燃も懸念された。また、イスラエルとハマスの紛争が、ユダヤ系民族の多いアメリカ人の不安を高め、経済活動を委縮させた面もあるだろう。その結果、アメリカに蔓延していた高いインフレ率も落ち着きを取り戻していった。
この状況を受け、アメリカの金融政策を司るFRB(連邦準備制度理事会)の高官から、利下げを思わせるハト派的発言が相次いだ。2024年は、インフレの沈静化と、景気の鈍化に配慮せねばならず、「利下げ」が実施されると考えられていた。
利下げが実行されれば、日米金利差の縮小を招き、ドル安円高基調になるため、日本の株式市場には逆風が訪れるとも見られていた。
ところが蓋を開けてみると、経済や株式市場は想像しなかった展開で進んでいる。