住まい・不動産

能登半島地震の復興を妨げる「相続登記未了」の不動産 輪島市役所も「解体までにかなり時間がかかってしまう」と苦慮

解体までにかなり時間がかかってしまう

 こうした現状について、輪島市役所環境対策課の担当者に話を聞いた。

「崩れた住居が隣の家に寄りかかってしまっているなど、緊急性の高い公費解体の相談を受ける窓口では、多い時で1日の予約枠の上限となる56枠が数日分埋まってしまうような状況でした。そのなかで、登記上の名義人が分からない、連絡がつかないなどという事情があってなかなか解体が進まないというケースがあります。

 やはり災害時でも、本人確認と同意がないまま勝手に個人の資産を解体することはできません。相続登記がされていないとスムーズに手続きを済ませることができないのです。

 もちろん、手順を踏めば解体自体はできます。(代替措置の)申請書提出のための印鑑証明や印鑑がなくとも、印鑑登録を再度していただくことが可能です。その際の手続き費用は無料で対応しているので、被災者の負担額はございません。しかし、相続登記をしている方よりも申請手続きの手順が増えるため、解体までにかなり時間がかかってしまうことは間違いありません」

 相続登記を未了のままにしていると、思わぬところで問題に直面する可能性がある。震災からの復興への道のりは、平坦なものではないようだ。(了)

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