ファミリーレストランではロボットが運んできた料理に家族連れが歓声を上げ、街に出るとマッチングアプリで出会った男女が「はじめまして」の真っ最中。その横で、外国人に道を聞かれた初老の男性はスマホの翻訳機能を起動する──あらゆる場面で活用されるAI(人工知能)だが、近年は「相談相手」としての役割も注目されている。
実際、2月3日付けの朝日新聞では「不妊治療に協力的でない夫にそのモヤモヤをどう伝えるべきか」「部下に指導する際、どう言葉をかければ相手に威圧感を与えずに済むか」といった問いかけをChatGPTに打ち込み、活用する例が紹介され、反響を呼んだ。
人生を左右するような決断を機械に委ねるなんて、と戸惑いや驚きを感じた人も多いだろう。
しかし『ChatGPT最強の仕事術』の著書がある池田朋弘さんは「親しい相手よりもまずAIに相談する人が増えている」と話す。
「ChatGPTをはじめとした、ユーザーの要求に即座に応える『生成系AI』はメールの作成や要約、翻訳など、ビジネスの世界で重宝されてきましたが、最近では“相談相手”としても有能であることに多くの人が気がつき、活用を始めています。
例えば夫と離婚したいと思ったとき、自分の両親やママ友、夫との共通の知り合いには相談しづらいという人がほとんどだと思います。かといって夫とつながりのない旧知の友人に話を聞いてもらいたいと思っても、すぐには難しい。
だけどAIであれば、いつでも相談できるうえ、その内容がどこかに漏れる心配も一切ありません。また、自分の状況を文字や言葉にすることで頭が整理され、悩みの本質にたどり着けることもある。今後もこの風潮は強くなっていくことは明確です」
機械に相談しても冷たい金属音で、通り一遍の答えが返ってくるだけ──そんなイメージはとっくに過去のものであり、いまやポケットの中のスマホや自室のパソコンこそが、“家族や友人よりも近しいよき理解者”として寄り添ってくれる時代なのだ。
では、その「聞く力」を最大限に活用するためにはどうすべきか。