日経平均の予想株価収益率(PER)が21日算出時点で17.29倍と約3年ぶりの高い水準まで上昇と報じられている。来期も企業業績は好調との見通しから企業の1株利益(EPS)は上昇が見込まれていることで、現在のPERは許容範囲内と見られているが、「売り」のきっかけに使われる可能性はあるので注意は必要だ。また、日銀会合前後の上昇によって、25日移動平均線、75日移動平均線、200日移動平均線の乖離率を合計した総合乖離率は「短期的な買われすぎ」を示す35%を優に超えている。週間で5%超上昇していることからも、日経平均は短期的な過熱感が意識されやすい状況だ。
なお、為替が1ドル151円台後半に入っていることから、政府・日銀による為替介入実施への警戒感も、日経平均の上値を抑える材料となろう。先週は、鈴木財務大臣が「高い緊張感をもって相場を注視」「為替介入の可能性は最もコメントできないことの一つ」といった軽い口先介入を実施しているが、為替介入の陣頭指揮を執る神田財務官はまだ発言していない。
日米中銀イベントを経ての円安進行のため「投機的な動き」と言いにくいのかもしれないが、2022年に為替介入を行った151円95銭水準が近づくと市場の緊張感は高くなるだろう。「脱デフレ」が意識されつつあるなか、期末に株安を招いてしまう円買い・ドル売りの為替介入は実施しにくいとの考えもできよう。為替市場は神経質な状況を迎えており、政府・要人の発言には要注意だ。
今週にかけて、国内は、25日に1月景気動向指数(確報値)、29日に3月東京消費者物価指数、2月完全失業率、2月鉱工業生産(速報値)などが予定されている。
海外では、25日に米・2月新築住宅販売件数、26日に米・2月耐久財受注(速報値)、1月S&Pケースシラー住宅価格(20都市)、3月リッチモンド連銀製造業指数、3月コンファレンスボード消費者信頼感指数、27日に独・2月小売売上高、豪・2月消費者物価指数、欧・3月ユーロ圏景況感、米・週次原油在庫、28日に豪・2月小売売上高、英・第4四半期実質GDP(確報値)、米・週次新規失業保険申請件数、第4四半期実質GDP(確報値)、3月シカゴ購買部協会景気指数、3月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)、2月中古住宅販売成約指数、29日に米・2月PCEデフレータなどが予定されている。