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【迫る年金大改悪】年金カットと保険料負担増の“4つの柱”を徹底検証 「夫婦の年金が10年で109万円も削られる」ケースも

【改悪2】保険料は「払い損」、年金は「もらい損ね」になる厚生年金75歳まで加入

 元気なうちは働きたいと考える高齢者は多い。「高齢社会白書(2023年版)」によると70歳以上の労働力人口は約532万人、4人に1人以上だ。

 現行制度では70歳以降も会社で働く場合、厚生年金から外れ、保険料を払う必要はない。だが、今回の年金改革の2つ目の柱は、厚生年金の加入年齢を75歳まで延長するものだ。その間は給料から厚生年金保険料を徴収される。

 実施されれば、年収300万円の人が70歳以降もさらに5年間、会社で働けば、支払う保険料は約137万円も増える。

「厚生年金は保険料を払い続ければ受給額も増える。それでも、シミュレーションすると元を取るのに18年くらいかかります。75歳まで加入したとして、その分を年金増額で取り戻せるのは93歳になる」(蒲島氏)

 日本人の平均寿命は現在、男性約81歳、女性約87歳だ。75歳まで厚生年金に加入しても年金アップのメリットを受けるのは現実的ではない。

 年金を受け取りながら働き続ける人にとっても注意が必要だ。在職老齢年金は給料と年金の合計が一定額を超えると年金の一部が支給停止される。この4月から支給停止の基準が合計50万円に引き上げられる。

 年金をもらいながら75歳まで働けば、年金額は毎年増え続けるが、それにより基準にかかってせっかくの年金がカットされてしまうことになりかねない。この支給停止分は退職しても戻らない。

 加入者にメリットがないのに、厚労省が厚生年金の加入年齢を75歳に引き上げようとするのはサラリーマンに「保険料をできるだけ長く、多く払わせる」ためとしか思えない。

次のページ:【改悪3】60歳以降も国民年金保険料を払わせられる
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