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働きながら「がん」と戦うことの過酷さ 肺がん罹患40代男性は体力衰え収入減、高校生の子供の進路選択に影響

がん診断後の就労状況と収入状況

がん診断後の就労状況と収入状況

がんのステージが上がると休職期間が長期化する

 厚生労働省の調査(2019年)によると、がん治療1件あたりの平均医療費(自己負担3割の場合)は入院で約23万円、通院で約2万円。部位やステージによって治療内容・期間が変わり、平均額を大幅に超えることもある。

 加えて、公的医療保険適用外の支出もある。がんライフアドバイザー協会代表理事の川崎由華氏が言う。

「例えば入院では、差額ベッド代(1日約6000~8000円程度)や食費の自己負担分(同1380円)、テレビ代(同500円程度)、寝具・タオル代(同1500円程度)などで、合計1日1万円前後かかる場合があります。これらは入院が長引くほどかさむものです」

 前述の通り、がん罹患者の54%が休職する。その上、アフラックの調査(2018年)によれば、がんのステージが上がると休職期間が長期化する傾向があり、ステージIII患者の休職日数は平均110日。治療中の収入確保は難しさを増す。

 A氏は有休の利用で対処したが、治療のための休暇の扱いや期間は企業が定める就業規則により運用されるため、誰もがA氏と同じサポートが得られるとは限らない。

「復職後は、本人の体力低下や業務内容の変更で残業代が減ったり、降格で減給となるケースが多いようです。ある意味リハビリ期間中とも言えますが、こうした状況が続き長期間給料が下がったままということも珍しくない」(川崎氏)

 40代で肺がんに罹患した男性会社員B氏が言う。

「手術で7日間入院しましたが、高額療養費制度を使い、出費はトータル15万円程度で済みました。でも問題はその後。復職後、体力に自信がなくなり役職を降りたら、月8万円の役職手当分、年収で100万円近く減ってしまった。当時高校生だった子供の進路選択に影響が出てしまったことは否めません」

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