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【長引くがん治療が家計を圧迫】収入が途絶え、貯蓄もなくなったら困窮は避けられないのか? FPが「使える制度」をアドバイス

「がんと戦う」うえでの費用をどうカバーするか(写真:イメージマート)

「がんと戦う」うえでの費用をどうカバーするか(写真:イメージマート)

 早期発見と適切な治療により、がんが「治る病気」となりつつある現代でも、罹患者の悩みは尽きない。その一つが「仕事」の問題だ。厚労省の調査(2020年)によれば、がん診断後の休職率は54%。退職率も19%にのぼる。がん闘病は仕事への影響が避けられず、治療が長引くほど家計の負担は増大する。働きながらがんと戦う術を探った。【前後編の後編。前編を読む

年金生活者ががんになると治療費で生活が逼迫する

 働き方や年齢によってはさらに厳しい状況に追い込まれるケースもある。肺がん治療中の67歳男性D氏が語る。

「定年後、倉庫で仕分けのアルバイトをしています。一人暮らしで年金は月14万円あり、バイトで8万円程度稼げれば生活には困りませんでした」

 状況が一変したのは、半年前に肺がんの骨転移が発覚して抗がん剤治療を始めてからだという。

「2か月に一度、通院で抗がん剤治療を受けています。治療費負担は高額療養費制度の限度額以下で1回7万円。体調が保てずバイトも休みがちで給料は半減しました。家賃と生活費、医療費の支払いで精一杯です」(同前)

 ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の井戸美枝氏が言う。

「貯金がなく、アルバイトなどで生活費の足しにしている年金生活者ががんになった場合、治療費で生活が逼迫するケースは少なくない」

 経済的理由からがんの治療を諦めてしまう人も実際にいる。

 国立がん研究センターの調査(2018年)によると、がんの治療費負担が原因で治療を変更、断念した人は全体の4.9%いた。

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