3月19日、日銀がマイナス金利の解除を決定した。7年ぶりの「金利がある世界」では、どのようなことが生活に影響があるのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第86回は、「マイナス金利解除の影響」について。
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3月19日「日銀がマイナス金利解除!」というニュースが、日本だけでなく世界中に駆け巡りました。これにより、2016年以来続いていたマイナス金利の世界から、金利のある世界へと移行します。それによって、わたしたちの生活はどう変わるのでしょうか。
そもそもマイナス金利とは
マイナス金利という言葉、最初に聞いたときは「お金を預けると金利を取られるの?」と不思議に思ったものです。実際には、わたしたちが銀行にお金を預けても、金利を取られることはありません。
日銀は、銀行ではありますが、中央銀行です。わたしたちが日銀にお金を預けることはできません。日銀がやり取りするのは、みずほ銀行や三菱UFJ銀行、三井住友銀行といった民間の銀行です。民間の銀行は、日銀に「当座預金」という名前でお金を預けています。じつはマイナス金利は、この当座預金の一部にかけられており、民間の銀行は、マイナス0.1%の金利を日銀に支払っていたのです。預けているだけで金利を払わなくてはいけないなら、日銀に預けないで、わたしたち国民や企業に、安い金利で貸し出したほうがよいということになります。
これは、景気が悪化したときに行う政策で「金融緩和政策」といいます。日銀は、マイナス金利のほかにも、長期国債の買い入れ、ETF(上場投資信託)などリスク資産の買い入れなども行なっていましたが、今回の金融政策決定会合では、リスク資産の買い入れの縮小も発表しました。