物価上昇が続き、円安が続いていることから、マイナス金利解除を見据えた発言が日銀関係者からも出るようになった。金利が上昇すると住宅ローンに影響が出てくるが、今後の住宅ローンについてどのように考えればよいか。住宅ローンアナリストの塩澤崇氏が、シミュレーションとともに解説する。
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日銀が長らく目標に掲げてきた物価上昇率2%ですが、2023年7月まで16ヶ月連続で上回っています。デフレ時代が長く続いた日本でも物価高が強く意識されるように変わってきており、日銀の金融政策の今後の動向が注目されています。
現在の日銀はマイナス金利政策を継続しているものの、長期金利の上昇を少しずつ許容するようなスタンスも見せてきました。また内外金利差による円安も背景に、日銀関係者によるマイナス金利解除の出口を見据えた発言も報道されています。
金利が上がると経済のさまざまな面に影響が出てきますが、家計にとってインパクトが大きいのは住宅ローンです。すでに固定金利は、長期金利が上がったことを受けて上昇しています。短期金利に連動する変動金利は上がっていませんが、日銀が金利政策を変更すれば影響を受けますので、金利上昇の可能性が意識されるのは当然です。
現在のマイナス金利は異常事態だが大幅な利上げは考えにくい
まず私の個人的な考えを示しておくと、「現在のマイナス金利は異常事態」だと考えています。つまり、いつかはマイナス金利が解除される日がくるということですが、同時に「すぐ解除されるかというと、まだ先」とも見ています。