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「大卒資格教習所」「就職予備校」として“ファスト化”する大学 各大学がPRする「高い就職率」にもトリックがある

今春卒業する大学生の就職内定率(就職希望者に対する割合)は86.6%(文部科学省「令和5年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査」より)

今春卒業する大学生の就職内定率(就職希望者に対する割合)は86.6%(文部科学省「令和5年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査」より)

非就職希望者はカウントしない

 就職活動は、そんな大学生のミーハー具合が一気に噴出するイベントです。みんな、将来がかかっていますから、本気です。それまで教室の最前列で真面目に授業を受けていた学生も、後方でスマホゲームに勤しみカップラーメンを食べていた学生も、猫も杓子も必死になる。

 無論、入学前に大学側がぶら下げたニンジンのせいもあります。大学のパンフレットを開けば、ほとんどの大学の就職率は95%以上。これでは比較材料になりません。ご承知の方も多いでしょうが、この数字のトリックは分母操作にあります。

 数字は、個々人の思想・信条を問わず万人を納得させやすい便利なツールですが、それゆえに注意して取り扱わないと、見えない操作や見せ方の工夫による錯覚に気づかず鵜呑みにしてしまいます。

 就職率のどこにトリックが隠されているか。大学がPRする就職率とは、厳密には就職決定率であり名目就職率。「就職決定者/就職希望者」で算出しています。つまり、学生100人が就職を希望したとして、95人が就職できたら就職率は95%、というわけです。家業を継ぐとかアルバイトで食い繋ぐとか、とにかく大学にとって都合の悪いデータは非就職希望者として、分母にカウントしないのです。卒業生や在学生全体を分母にすれば、実質就職率は必ず下がります。

 この数字のトリックは業界ではよく知られた常套手段です。たまに、「うちの大学では就職率は操作していない」と言い張る強情な大学があります。もちろん、どの大学も正しい情報には違いありません。問題は、算出する前に数字をイジっている、ということです。

「就職するために大学に行くんですけど」

 流石にイマドキ就職率を気にして進学する高校生は少ないだろうと思われるでしょうか。全くそんなことはありません。高校生向けの大学説明会イベントなどでは、高校生も高校教諭も保護者も大学の就職率を気にしています。ワークシートや質問事項に「就職率」と書かれているケースも珍しくありません。就職支援は、大学が揃えておくべきサービスメニューのひとつだと認識されているからです。

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