各大学は、面接練習や履歴書添削などのテクニック面での助言から、ざっくばらんな進路相談まで、就職支援を強化・充実させています。『中期計画』には、「上場企業への就職率○%」「インターンシップ参加率○%」といった目標数値まで掲げられている。かつて「就職予備校」と揶揄された大学ですが、その後反省するどころか、益々勢いを強めています。
これには、社会的要因も関係しているでしょう。大学全入時代といわれる昨今、行ってもものにならないかもしれないけれど、大学くらい出ておかないと話にならないのです。
就職するための通過点として大学を通らねばならないと考えている高校生。彼らの口から「就職するために大学に行くんですけど」と聞いた数はうなぎ上りです。この場合、大学進学率は支持率ではありません。受験者の数はファンの数とは限らないのです。
大学によっては、「ウチは就職予備校ではありません!」と営業トークをかますところもあるにはあります。が、消費者は現実的です。「就職予備校で何が悪いんでしたっけ?」とストレートです。
たしかに、ファスト・サービスと化した大学ならば、何も悪いことはない。学歴と就職支援が抱き合わせになったセット商品を、お金を出して受け取れればそれでいいのです。
※『ファスト・カレッジ』(小学館新書)より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
高部大問(たかべ・だいもん)/1986年、淡路島生まれ。慶應義塾大学、中国留学を経てリクルートに就職。その後、多摩大学の事務職員に転身。1年間の育休経験も踏まえ、教育現場のリアルを執筆・講演活動などで発信している。著書『ドリーム・ハラスメント』(イースト・プレス)は新聞・雑誌・ラジオ・TVで幅広く取り上げられ、海外版も刊行された。