2015年に、第4世代のモデルとしてデビューした現行のマツダ・ロードスター(以下、ロードスター)。すでに登場から8年が経過しているが、いまだに古さを感じさせないスタイルと、ライトウエイトオープンならではの爽快な走りという不変の“味”で、世界中のスポーツカーファンを魅了し続けている。そして今回、そのロードスターが、過去最大級の大改良を施され新登場。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は、自動車ライターの佐藤篤司氏が、新しくなったロードスターに乗車し、レポートする。
見た目以上に中身の進化がすごい
本当にマツダというメーカーは、つねに小さな改良を加えながら、ひとつのモデルを大切に育て上げます。少しクルマに詳しい人たちからは「ND型」と呼ばれる現行のロードスターですが、すでにデビューしてから9年経過しています。それでも鮮度を保ったまま、現在でも多くのファンが存在するのは、マツダならではの「かゆいところに手が届く改良」の賜物だと思います。実はこの現行型、これまでに細かな走行性能に関わる改良を見ると4回(軽量化した特別モデルの990Sもカウント)も行われています。そして今回の大改良は5回目となるわけです。
ビッグマイナーチェンジといわれながらも、一見すると「どこが変わったの?」と聞きたくなるほどその変化は少なく感じます。実際、目に付く変更点と言えば8.8インチのセンターディスプレイの採用、すべてのランプ類のLED化、そしてリア・コンビランプやホイールなどのデザイン変更といったところで、地味な印象。ビッグと言われてもピンとこないのも当然かもしれません。
しかし今回、大幅に手が入ったのは中身です。それも走りの性能というよりは、国連欧州経済委員会が導入し、日本も追従した「サイバーセキュリティ対策基本法」に基づく「型式認証要件(UN-R155/UN-R156)」に対応するため、大幅な進化が施されました。
一般的に、自動車メーカーは車両のコンピューターシステムに対するハッキングやマルウェアの侵入を防ぐための防御策としてサイバーセキュリティを向上させるために、様々な対策を講じています。これには遠隔からの車両へのアクセスを制限するための暗号化やセキュリティプロトコルの導入、ソフトウェアの定期的なアップデートによる、脆弱性の修正などが含まれています。