子供たちの間での「違和感」につながる可能性
そうしたランドセル市場の拡大、商品の多様化の流れのなかで、子供たちの学校生活への影響で懸念される部分も出てきているのだという。元小学校校長でいじめ防止教育コンサルタントの仲野繁氏が指摘する。
「ランドセル選びが、子供の学校生活に大きな影響を与える場合があります。子供たちの間では、“あの子は他の子と違う”という違和感が生じると、“周りと違っていて変だ”といった空気につながり、その子を仲間はずれにしたり、イジメにつながったりしてしまうケースがある。ランドセルがそのきっかけになり得るということです。経済的に苦しい家庭の子がおさがりのランドセルを使っているような場合も、反対に著しく高級なランドセルを持っている場合も、どちらのケースでも違和感につながるリスクがあります。
色についても同様で、大人の目線では多様性の観点から男女を問わず何色であってもいいと考えるかもしれませんが、子供の間では“あの子は他の子と違う”という受け止め方になる可能性がある。親の考えで突っ走るのではなく、ランドセル選びは慎重に考える必要があると思います」
保護者が考えるべきことは多そうだ。仲野氏はこう続ける。
「入学後の問題を避けるために、同じ幼稚園に通う子供の親同士で話をして、周りと似た価格帯のランドセルを買うようにしたという保護者もいます。もちろん、様々の選択肢のなからどんなランドセルを買ってもイジメが起きないことが理想ですが、現実には難しい部分があるということ。まずそれを保護者の皆さんには認識していただきたいと思います。その上で普段から学校でいじめ防止教育を実施することが望ましいのです」