「コミュ力」アピールする学生の勘違い
IT企業勤務の30代男性・Cさんは、「学生だから仕方がない部分もある」と前置きしつつも、「強み=コミュニケーション能力」と思い込む学生の多さに疲れていると明かす。
「確かにコミュニケーション能力はすべての仕事の土台で大切なことですが、その内容をうまく説明できないとアピールになりません。それでも、SNS上でもリアルでも『友達』が多く、フットワークが軽いことを、コミュニケーション能力が高いととらえて、強みや長所としてとらえる学生が多い気がします」
Cさんは、学生側と社会人側で「コミュニケーション能力」の認識にズレがあるという。
「学生側としては、同世代とノリが良く、仲良くなれる。上手にスラスラと話せることだと思っているのかもしれません。でも社会人としてのコミュニケーション能力を分解すると、苦手な相手ともしっかり向き合える対話力、相手の話を聞くことができる傾聴力、自分の考えを正確に伝える、聞かれたことに対して的確に答える力など、細かい部分での能力が求められます。
自分の長所は『コミュニケーション能力です』という学生がいて、結果的に不採用にすると、SNSで当社の悪口をばらまかれていたということがありました。そういう場で発揮するのは、コミュニケーション能力とは言わないよ、と思いました」(Cさん)
もちろん、今までも学生への対応で悩まされるケースはあっただろうが、昨今の売り手市場になってから、採用担当者の悩みはますます大きくなっているのかもしれない。(了)