今回の理事改選による人事からわかること
短ければ1年、長くて2年という見方に対して、「そんなに甘くない」とするのはベテランの部屋付き親方のひとりだ。
「木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)は北の湖親方に可愛がられていた。2012年に北の湖親方が理事長に返り咲いたことで、温情により閉鎖が解除された。貴乃花親方も北の湖理事長と大鵬親方を後ろ盾にして理事選強行出馬の“貴の乱”を成功させたが、2人が相次いで亡くなると失脚した。
白鵬にはバックになるような重鎮がいないどころか、執行部から睨まれている。最悪のケースでは白鵬が協会を辞めるというまで閉鎖が続くんじゃないかという親方も少なくない。八角理事長(元横綱・北勝海)はじめ執行部の多くが定年を迎える5年後、陰の理事長といわれる尾車親方(元大関・琴風)が70歳で退職となる4年後あたりが最短ラインじゃないか」
協会の人事を見通すうえで、参考になるのが今回の理事改選による職務分掌の発表だったともいわれている。今回の人事では、過去に暴力事件や薬物問題で「委員」から「年寄」に2階級降格されていた常盤山親方(元小結・隆三杉)や中川親方(元幕内・旭里)が委員に戻されている。
「常盤山親方が2階級降格になったのは2021年7月、中川親方の2階級降格は2020年7月だった。理事改選のタイミングとの兼ね合いもあるが、降格させた状態が続くのは“2期4年”というのが目安になりそうです」(相撲ジャーナリスト)
今回、宮城野親方が受けた処分も、委員から年寄への2階級降格だ。月額報酬は100万1000円から78万4000円になり、約22万円の減額。賞与も年間で約43万円減る。年収ベースで約300万円ダウンだ(降格と別に受けた3か月の減給処分のぶんを除いた数字)。4年続くなら、“逸失収入”は約1200万円ということになる。
約20人の力士を抱える部屋持ち親方として、所属力士数などに応じて協会から受け取っていた相撲部屋維持費などは年3000万円超。当面閉鎖が4年なら、宮城野親方の手元にくるはずの1億円超がまるまる失われる。