【3】季節性
株式市場には季節性があるとされ、投資家もそれを意識して行動するため、実際に市場もその通りに動きやすい傾向があります。「セル・イン・メイ」という言葉が示すように、夏前にかけて株価が下がりやすい(売られやすい)とされており、4月は相対的に買い意欲が高まる時期とされています。
これら3つの要因と、日本市場における外国人投資家の影響力の大きさから考えると、4月は主に外国人投資家の買い越しが日本株にとってポジティブになるケースが多いのではないか、という仮説を立てることができます。
そこで、2014年から2023年まで過去10年間における
【1】4月の海外投資家の売買動向(投資主体別売買動向)
【2】4月の日経平均株価の月間騰落率
【3】各期間内の株価トレンド(200日移動平均線の向き)
のデータをもとに、4月が上がりやすいのかを定量的に分析していきます。
検証の結果、4月は上がりやすいが
検証の結果、以下の点が明らかになりました。まずは表をご覧ください。
【1】海外投資家の売買動向
過去10年間で、海外投資家は4月に日本株を買い越す傾向が非常に強いです。10回のうち9回で日本株を買い越しており、これが4月の株価上昇に寄与している可能性が高いことが分かります。
【2】日経平均株価の月間騰落率
4月の日経平均株価の月間騰落率は10回のうち6回がプラスです。これは月間で株価が上昇する可能性が高いことを示していますが、約4割の確率で下落していることも認識する必要があります。
【3】各期間内の株価トレンド
上昇トレンドであっても、必ずしもその月が上昇するとは限らないことが確認されました。トレンドの方向性と特定の月の株価上下との間に直接的な相関関係は見られませんでした。
今回の検証の中で日本株の売買シェアの約7割を占めている海外投資家が大きく買い越した年にも株価がマイナスになるケースがありました。これはおそらく4月は国内の需給要因が大きく影響する重要な時期であることが推察されます。2024年4月現在は、株価が史上最高値圏にあるため、機関投資家の期初の益出し売りなどが大きく影響する可能性が考えられます。