簡単に人と繋がり、コミュニケーションができるSNSだが、アメリカでSNS規制の動きが強まるなど、その“負の側面”にも注目が集まっている。2024年2月には、ニューヨーク市が「若者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしている」として、SNS各運営会社を提訴する動きも見られた。TikTokやInstagramにくわえ、Facebook、YouTube、Snapchatも対象となっている。
こうした動きがある中で、いわゆる“SNS断ち”を試みる人たちがいる。実際にどのような効果があるのか。「最近、SNS断ちをしてみた」という人の実体験を聞いた。
きっかけは体や脳の疲労感
都内の大学に勤務する大学教員の女性Aさん(40代)は、慢性的な首、肩こりと、疲労感に苛まれたことからSNS断ちを決意したという。
「仕事柄、授業時間以外はずっとパソコンに向き合って論文を執筆するか、学術書を読むというのが日課です。仕事の合間にスマホを見ていると、知らないうちに1時間くらい経ってしまっていて、論文執筆に支障が出ているという焦りも感じていました。肩こり、首こり、それから朝起きられないなどの慢性的な疲労感があり、整体や鍼灸院通いが欠かせない日常になってしまったんです。頭も疲れっぱなしで、休まる感じがまったくない。
あるとき、鍼灸師の先生から『スマホばかり見ていると疲労感が抜けないから、一回デジタルデトックスしたらどうですか』『SNSなどで過剰に他人の情報を見ているだけで疲れが溜まることもあるといいますよ』と言われたんです」(Aさん)
鍼灸師のアドバイスを聞き入れ、SNSを見る時間を「1日30分」に制限したというAさん。
「時間を制限したら、たしかに疲労感が減ったように感じます。また、いざX(旧Twitter)を見なくなったら、いままでいかに無駄に多くの情報を取り入れていたかがわかったんです。アプリをアンインストールして、どうしても見たい時にはブラウザからログインするようにしました。するとログインが面倒で、だんだん見る時間も減るんです。精神的にもかなり楽になりましたね」(同前)