伸びる会社とそうでない会社を見分けるには、どのような点に着目すればよいのか。日米通算で5000社以上の会社へ取材した経験を持つファンドマネージャー小松原周氏は、伸びる会社と伸びない会社には「サイン」があると指摘する。個人投資家・片山晃氏との共著『改訂版 勝つ投資 負けない投資』が話題の小松原氏が、それぞれ5つの項目を挙げながら解説する。
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伸びる会社のサイン
私はこれまで数多くの会社を取材してきましたが、経験上、伸びる会社と伸びない会社には、ある種の共通したサインがあることに気づきました。もちろん会社は生き物ですし、いつも予想外の変化をするものなので、一概に語ることはできません。
しかし、これらに該当していたら確率が高まる、という見方はできると思いますので、投資をする前に以下のポイントをチェックしてみてください。今回は、私なりに的中率が高いと思われるサインをそれぞれ5つずつご紹介します。
まず、伸びる会社のサインは、次の5つです。
【サイン1】収益性が向上している
サービス系の会社であれば営業利益率(営業利益/売上高)、設備投資の多い製造業系の場合はEBITDAマージン(償却前営業利益/売上高)などの収益性の指標は、シンプルでありながら会社の実力が如実に現れます。
優秀な経営者がマネジメントをしている会社は、従業員の生産性の向上や無駄の削減などによって収益性は継続的に上昇しており、事業の競争力が高まっているサインと見ることができます。
同様に、在庫や売掛金の伸びもチェックしてみましょう。これらが売上の伸びより低く抑えられている会社は、ビジネスの競争力が高まっているサインといえます。
【サイン2】経営者がROEの向上を意識している
伸びる会社の経営者はROE(当期純利益/株主資本)の向上という視点で会社を経営しています。なぜなら、株主の利益はROEという指標で表現されるからです。
収益性が向上すると当期純利益が増加するため、ROEは上昇します。一方で、稼いだお金をより儲かる事業へ再投資したり、配当や自社株買いなどによって株主に資金をしっかりと返還したりしていないと、分母の株主資本が増加してROEが低下することになります。決算説明会の資料などで、ROEの向上を目標に掲げているかどうかをチェックしましょう。