2001年にはマイクロソフトと家庭用ゲーム機「Xbox」、2004年にはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)と「プレイステーション3」向けのGPUを共同開発し、トップメーカーとしての地位を固めた。
ブロードバンド(高速大容量)インターネットの時代に入ると、パソコンやスマートフォンで動画を見ることが当たり前になり、ユーザーは端末の画像処理性能を重視するようになる。
つまりパソコンやスマホの性能を決めるのもGPUという時代になり、エヌビディアは第一期の黄金期を迎える。
だがこうなると、ほかのメーカーも黙ってはいない。インテルをはじめとする大手各社が画像処理性能を高めた半導体を続々と投入、市場はレッドオーシャンになった。
自動運転の鍵を握る
フアンの凄みは「画像処理のエヌビディア」という看板に固執しなかったところにある。GPUの特性を活かし、次なる活路を見出した。AIである。
「マシーンラーニング(機械学習)」とも呼ばれるAIは、データを与えれば与えるほど賢くなる。データを処理するスピードは半導体の計算能力で決まる。高速大容量のデータ処理が得意なGPUにはもってこいの市場であること、そのAIが次の世代の主戦場になることを見抜いたわけだ。
そしてフアンがもう一つ注目したのがクルマの「自動運転」だ。
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