罹患率の低い年代、十分な預貯金のある会社員
Bさん(40)やCさん(55)のように、罹患率の低い年代、あるいは十分な預貯金のある会社員や独身者であれば、Aさんと同様、保険に頼らなくとも差し当たりの生活に困ることは考えにくい。
「保険に入ったつもりで月々1万円ずつ貯金に回すなど、病気になった時への備えに回しましょう。そうするとがんの罹患率が高まる70代になる頃にはBさんであれば360万円、Cさんでも180万円貯まっているはず。Aさんが65歳で定年退職した場合、将来を考えて退職金も一定額を貯蓄に回せるとより安心です」
罹患率の高まる年代でも、加入が「損」となるケースがある。Dさん(68)は年金を受給しつつアルバイトに精を出し、年収は400万円。預貯金は1800万円でローンは返済済みだ。
「仮にがんに罹患しても預貯金でどうにかなる。アルバイト先で社会保険に加入できればより安心です」
会社員でも加入が「得」となるケース
総じて会社員の場合は加入メリットが少ないといえるが、加入が「得」となるのはEさん(50)のケースだという。
Eさんは妻と高校生の子2人を持つ働き盛り。年収は500万円で預貯金は800万円と、万一がんになっても経済的に困ることはないように思える。だが、横川氏はこう指摘する。
「800万円の預貯金は、この先、お子さん2人の大学進学によってほぼ消えるため、“手を付けられないお金”と考えたほうがいい。妻は専業主婦なので、Eさんが一時的にでも働けなくなれば、たちまち家計は悪化します。住宅ローンが2000万円残っているのも気がかり。200万~300万円の診断給付金が受け取れ、抗がん剤治療費などをカバーするがん保険加入を検討する必要がありそうです」
自由に使える預貯金が少なく、ローン残高は多め、そして妻が専業主婦というケースは加入が選択肢に入りそうだ。