マスコミも経済団体もおかしい
そうした議論が深まらなかった大きな原因のひとつに、経済団体や健保組合連合会のようなステークホルダーが沈黙していることがあります。
本来なら、社会保険料を折半することで負担が生じる企業も反対の声をあげるはず。しかし、昨年秋に内閣官房やこども家庭庁の官僚がこうした団体を軒並み回って「反対しないで」と説得して回ると、その説得が効いてしまった。これで黙ってしまうほうも情けないですが、マスコミも同じです。全国紙では加入者の負担金額の話に終始して、根本論に立ち入る批判はしていません。
じつはマスコミがちゃんと報じないだけで、野党議員は国会でじつに的確な質問をしています。ただ、何がなんでも徹底抗戦して止めさせる、という構えにならなかったのは、国民の反発が弱かったからでしょう。与党も衆議院の採決に踏み込んでも強い批判は起きない、とタカを括ってしまった。国民の反発が強ければ、与党もこんな拙速な国会運営はできなかったはず。
今回の緊急声明を主要政党には届けていますが、立憲民主党や日本維新の会からは、「なんとか撤回させましょう」と心強い反応をもらいました。参議院の議論に注目しています。
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