上昇を続けていた株式市場も、4月に入って以降、下落する局面が目立ってきている。今の相場をどう分析し、今後の見通しをどう立てればよいのか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が解説する。
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イランは4月13日から14日にかけてイスラエルに向けて多数のミサイルと無人機を使った大規模な攻撃をおこなった。当初イランはイスラエルに対して攻撃を行わないとの観測も多かっただけに、マーケットにはサプライズとなり、株式市場は下落した。3月まで下落を続けてきていた原油価格も85ドルまでの急騰を見せた。そこにイスラエルも反撃したことで、中東情勢は混迷している。
また、アメリカの景気過熱によるインフレ再燃懸念も収まらない。昨年、一昨年の度重なる利上げによって、今年はアメリカの景気過熱が収まり、利下げが行われるという見方も多かったが、その目論見は大きく外れた格好で、米国の景気過熱は依然として陰りを見せない。その結果、利下げ観測どころか再利上げ観測まで出てくる状況になっている。昨今の金利上昇はそれを反映した現象といえる。金利と株価は基本的にシーソーの関係なので、金利が上昇している今、株価の上値は重くなっている。
地政学的リスクの顕在化と、米国の景気過熱がダブルで発生している今、相場は「総悲観」となっており、連日の下落を続けている。相場の強気・弱気を示す指標「Fear & Greed Index」を見ると、長らくGREED(貪欲)だったのが、ここにきて一気にFEAR(恐怖)に突入している。
今回は、相場を悲観させている要因として考えられる中東情勢とアメリカの景気過熱、そして日本の株式マーケットについて分析し、今後の相場展望を考える。
中東情勢の状況
イランは4月13日から14日にかけてイスラエルに初の直接攻撃を実施した。これを受けて株式市場は下落し、原油価格も高騰した。
これは4月1日に在シリア・イラン大使館に対して行われたイスラエルからと見られる空爆への報復と報じられている。イランは、「自国民に対する面目を保ち、これ以上緊張を高めるつもりはない」との姿勢を強調した。
しかし、それで黙っていないのが報復を受けた側のイスラエルである。イスラエル軍参謀総長は「イランがイスラエル領土に向けて多数のミサイルやドローンを発射したことに対し、対抗措置を取る予定」というコメントを出し、19日には、イスラエルがイランの施設に対しミサイル攻撃での報復を行った。
これに対し、次はイランがさらなる報復に向かう懸念が出ており、事態が収集のつかない混迷へと向かっている。当然、相場はネガティブに向かっている。