介護費用や施設入居一時金にも対応可能
とくに効力を発揮するのが不動産だ。第一生命経済研究所の調べによれば、認知症の高齢者が所有する住宅は2021年に221万戸だったのが、2025年には244万戸、2040年には280万戸まで増えるとされている。
「認知症になって施設に入居したら自宅は空き家になるのに、子供らがその固定資産税や火災保険を払い続けないといけなくなる。メンテナンスのためには電気やガス、水道などのライフラインも止められない。手がつけられないのにお金だけがかかり続けるのです。
さらに介護費用や、施設の入居一時金の問題も出てくる。介護施設は一般的に、入居一時金が低いと月額料金が高くなりますが、家族信託を結んで、自宅を売却したり、子が預金を引き出すことができれば、入居一時金が準備できて支払いが楽になる。入居一時金は1000万円超のことも少なくないが、家族信託の契約に基づく自宅売却でそれが捻出できる可能性があるわけです」
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