犬を飼う場合、狂犬病の予防注射を毎年受けさせることが、法律で義務付けられている。しかし、犬によっては予防注射でアレルギー反応が出るケースもあるという。それでも義務として毎年受けさせなければいけないのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
飼い犬が12人を咬んだ群馬県の事件。問題を大きくしたのは、その犬が狂犬病の予防接種を受けていないこと。実は、私の犬も昨年から受けていません。接種の際、アナフィラキシーショックとなり、死にそうになったからで、もう二度と受けさせたくないのですが、その場合、私はどのような罰を受けますか。
【回答】
『狂犬病予防法』は、飼い主が犬を登録した上、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならないと定め、注射を受ければ、市町村から交付される注射済票を犬に着けることを義務付けています。そして、この義務に違反し、犬に注射を受けさせず、又は注射済票を着けさせなかった者を20万円以下の罰金に処するとしています。
つまり、予防注射を受けさせないと、処罰されることになります。
一方、厚労省のホームページでは、狂犬病の予防注射においては、一過性の副反応(疼痛、元気・食欲の不振、下痢、又は嘔吐等)や過敏体質の場合、まれに蕁麻疹などのアレルギー反応の他、アナフィラキシー反応などが報告されているとしています。また、アナフィラキシー反応を示すと虚脱、貧血、血圧低下、呼吸速拍、呼吸困難、体温低下、流涎、ふるえ、けいれん、尿失禁等などの重篤な症状が生じます。