他にもホームページでは、予防接種の関係者に故意過失がなく、副反応を原因とする健康被害が回避できなかった場合には、賠償責任が生じないとも説明しています。
しかし、アナフィラキシー反応の前歴があれば、再発の恐れがあります。既往歴を申告しているのに注射して再発すれば、過失責任を問われる可能性もあります。
そこで『狂犬病予防法』では、制度として規定されていませんが、一定の場合、猶予されることがあり、平成8年に厚生省監修の日本獣医師会のガイドラインに沿い、獣医師がアナフィラキシー反応の経歴のある犬などを、予防注射を受けることが適当ではない犬(注射不適当犬)に分類し、予防注射実施猶予証明書を発行します。
なので、かかりつけの獣医師や動物病院に相談し、猶予証明書の発行を受け、役所に届け出ておけば、予防注射を受けさせていなくても処罰されることはありません。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2024年5月3・10日号