「稼働初日はキャンセルだらけ」
「稼働初日は、キャンセルだらけでした。お客さんがタクシーアプリで配車をリクエストするとき、普通のタクシーが来るのか、ライドシェアが来るのかわからないようになっていて、アプリで『ライドシェア・タクシーが来ます』と通知されると、びっくりしてキャンセルしてしまうようです。キャンセルしたのはほとんどが女性でした。まあ、お客さんの気持ちになって考えると、理解できますけどね。ただ、不思議なことに、2日目からはほとんどキャンセルはなくなりました。お客さんはみなライドシェアに興味津々で、あれこれ聞かれまくっています」(40代ギグワーカー氏、以下同)
稼働したのは平日の午前中のみとのことだが、たとえば金曜深夜(土曜の午前0時〜5時)は深夜料金が加算され、遠距離の需要も多そうなのに、なぜ稼働しなかったのか。
「泥酔したお客さんを乗せて、車内で吐かれたりしたときにどうするかという問題があるのです。器物破損になるので、損害賠償を請求できるはずで、タクシー会社の場合、車両は会社の所有なので、会社に請求権がある。一方、ライドシェアの場合、車両はドライバーの私物です。
だから、最初に応募した会社で『お客さんに請求していいか』と聞いてみたのですが、『お客さんへの請求は禁じています』と言われ、ちょっと揉めて、応募を取り下げました。次に応募した会社でも同じように言われましたが、『こちらからは何も申し上げません。なるべく夜は稼働しないでください』と言われて、一応、納得し、夜は稼働しないことにしたんです」
客とのトラブルに対する方針があいまいなままでは、深夜に走るライドシェアのドライバーはいなくなり、タクシー不足の解消には貢献しないことになる。
「他にも、(所属するタクシー会社に)稼働エリアは当初、新宿、渋谷、目黒、世田谷、港区の5区のみと聞いていたのですが、開始の前日に環七より内側の都内全域に変わり、金曜深夜の稼働時間も1時間延びて朝5時までになりました」
見切り発車で始めた感があるという。