混んでいると、棚から下ろすのが大変
他の乗客への迷惑がかかる可能性を考える人もいる。金融機関勤務の50代男性・Bさんは、「混んでいる電車では極力網棚は使わない」と言う。
「混んでいる電車で立っている場合、人の波に流されて網棚が遠ざかってしまい、荷物を取るために人をかきわけて取らないといけなくなる。網棚に荷物を置いて座っても、降りる時に目の前に立っている人の間に入る必要があり、ちょっと嫌な顔をされることもあるので、網棚には上げない方が気楽です」
自身の上げ下ろしの大変さはもちろん、他の乗客に迷惑をかけてしまうリスクも懸念しているという。
「新幹線のように目的地まで何時間も乗りっぱなしなら網棚に置くこともありますが、乗車時間が数十分で混んでいない電車なら、基本的には網棚に物を置くことはありませんね。置くとしたら、軽くて大きいものに限定されます。重たいと、網棚に載せるのはよくても下ろす時にバランスを崩し、他のお客さんに迷惑をかけることがあるからです」(Bさん)
私物を置きっぱなしにするリスク
盗難や忘れ物を警戒する人もいる。IT企業勤務の30代男性・Cさんは、「網棚にPCを置きっぱなしにして帰ってしまった」という苦い経験を明かす。
「飲んだ後だったんですが、会社から支給されたPCが入ったカバンを網棚に忘れて、処分をくらいました。いくらセキュリティをかけていても、情報漏洩リスクはありますからね……。それ以来、飲んだ時は特に網棚厳禁と自分に言い聞かせています。
そうでなくても、網棚ってよく考えたら自分の目が届かないところに私物を置きっぱなしにしているわけで、まあまあリスキーな話ですよね?」
さまざまな事情から、荷物を網棚に置かない人たちがいるようだが、荷物が大きい場合は周囲に邪魔にならないような工夫や配慮は忘れずにしたいものだ。(了)