ディナーショーといえば“大物芸能人がやるもの”というイメージを持っている人もいるかもしれない。有名ホテルの宴会場を貸し切り、シェフの作るコース料理を振る舞いながら、生歌や秘蔵トークを披露する──そうした流れが一般的で、チケット価格も高額になりがちだ。そのディナーショーがいま、「声優」の世界にも広まりつつある。
最近、1月末に開催された声優・今井麻美(46)のディナーショーに参加したファンが言う。
「長年推していましたが、初めてのディナーショー開催に感激。テーブルにも回ってきてくれて近くで生声が聞けましたし、歌はコンサートホールとかと違う響きで聴けて感動しました。食事中のゲームイベントでは、企画や内容の組み立てが独特で、“らしさ”に浸れました」
今井は、最近ではフランスでセザール賞アニメーション映画賞を受賞した映画『神々の山嶺』に出演し、他にも多くのアニメ・ゲームでヒロインも務める人気声優。気になるチケット価格は、3万4000円(SS席)だったという。参加者には、地方から前泊して臨んだ人、今井の出世作のアニメの作中に登場するグッズで身なりを固めてきた人など、熱量のあるファンが多数いたという。
昨年度には他にも、アイドル的な人気を誇る声優・雨宮天(30)が2部構成でディナーショーを開催。2万9800円の第1部、3万2800円の第2部、それぞれ300人超を動員している。また、今年3月には熱狂的な女性ファンも抱えるイケメン声優・小野賢章(34)が3万5000円(SS席)で開催。会場にはファンからのフラワースタンドも並んでいた。
いずれも有名ホテルで開催されており、大きな「声優ファンマネー」が動いている。
声優ファンが「壮年化」したことで高額開催が可能に
ちなみに、大御所芸能人の昨年末のディナーショーの価格を見ると、新御三家・野口五郎のクリスマスディナーショーは、3万5000円(2023年12月6日開催時)、「冬の女王」こと広瀬香美で3万6000円(2023年12月25日)。声優のディナーショーはそれらと遜色ない価格で発売されていることがわかる。
複数の声優が登場するディナーショーが開催されることはこれまでにもあったが、声優単独での開催はあまりなかった。「アニメから洋画の吹き替えで知られ“帝王”の異名を持つ森川智之(57)が2017年に3万円超の価格で開催したディナーショーが、声優界でほぼ唯一といえる高価格帯開催だったのでは」(声優業界に詳しいライター)との声もある。