厚生労働省は、自営業者らが入る国民健康保険、75歳以上の後期高齢者医療制度や介護保険の社会保険料の算定対象を広げ、株の配当など金融所得を反映する仕組みの検討を始めた。4月25日に自民党の部会で検討案を示した――と新聞各紙は一斉に報じている。この制度変更が実施されれば、国民生活に大きな打撃となることは必至だという。
現行制度では株や債券などの配当や利子による金融所得について、確定申告をすれば国民健康保険などの保険料に反映されるが、申告しなければ保険料に反映されない仕組みになっている。そのため、「申告の有無で保険料負担が変わるのは不公平ではないか」との指摘があったという。そこで厚労省は金融機関が国税庁に提出する報告書類を活用し、確定申告していない金融所得を把握する方法などを考えているとされる。
国が検討を進める今回の制度変更について、社会保障制度に詳しいファイナンシャルプランナーはこう話す。
「会社員らが入る健康保険は、確定申告の有無にかかわらず給与の額を基準に保険料が決まるため、ひとまず今回の検討対象にはなっていないようですが、自営業者や国民健康保険に加入するリタイア世代にとってはとんでもない話です」
一体、何が起きようとしているのか。
次のページ:現行制度は“不公平”なのか?