現行制度は“不公平”なのか?
前出のファイナンシャルプランナーはこう続ける。
「現行制度において、金融所得を確定申告するかしないかは選択が可能です。たとえば、複数の株式を保有していて配当による利益と売却損が混在している場合、確定申告をすることでそれらを相殺する『損益通算』などができるので、確定申告する人がいる。そういう人たちは社会保険料の算定対象になっても、そのほうが得だと考えているわけです。
一方で、配当を受け取る際には基本的に所得税と住民税が源泉徴収され、すでに税金を納めているので、配当収入のみならわざわざ確定申告する必要はないと考える人が多いのが実態です。株を売って大儲けや大損したならいざ知らず、株を長期保有してコツコツと配当を受け取る人からすれば、わざわざ確定申告して保険料の負担を増やしたくないという考えになるわけです。
あるいは扶養されてきた妻が確定申告をすると、発生した金融所得の金額次第では扶養から外れ、社会保険料負担が増すこともある。高齢者の医療費の自己負担割合は原則1割か2割ですが、金融所得が加算されて所得が一定額を超えれば3割負担になる可能性もある。
いずれにしろ、それぞれの立場で国民が選択できる制度になっていて、誰かがズルをして得しているといった類の話ではない。別に制度を利用している国民の側が“不公平”と感じているわけではなく、保険料を徴収する側が取れるところから少しでも取るために国の側が“不公平”とあげつらっているだけではないか。違和感は大きい」