21世紀を迎えて四半世紀が過ぎようとしている。次の四半世紀が過ぎた2050年は一体どんな社会となっているのだろうか──。
2000年初頭は、子育て世代の女性の就業化が大きく進んだ時代だったといわれている。かつては夫を支え家族に尽くすことが至上命題だとされていた女性の生き方は、この四半世紀で大きく変わったのだ。男性と肩を並べて働きながらも、家に帰れば家事や育児をこなし、ホルモンバランスの波と向き合いながら、新たな道を開拓していく??決して平坦ではなかったこの25年の“教訓”は2050年にどう生かされ、私たちはどんな日々を送っているのだろうか。
電通ソリューションクリエーションセンター未来予測支援ラボの小野江理子さんは「性差を超えて個の感性が大切にされる時代になる」と予測する。
「いまの日本でも事実婚や別居婚は増えていますが、今後も結婚や夫婦の形態はどんどん多様化していくでしょう。実際、2040年時点で50才の生涯未婚率は男性29.5%、女性18.7%になり、既婚者と独身者がほぼ半々になるとのデータもあり、ひとりの時間を大切にしたいと考える人の割合もコロナ禍を経て右肩上がりです。
女性の生き方が多様化していく中で、性別や年齢、肩書を超えた個々人の違いがくっきりと際立つ社会がやって来ることが予測されます」
そこで求められるのは自分と異なる人を思いやる心だと小野さんは続ける。
「仕事や勉強、家事や育児において男女が同じように取り組める社会が到来するとともに、厳然たる性差が存在することもまた、可視化されていくのではないでしょうか。どんなに時代が変わっても、男女の体の仕組みの違いは変わらない。女性には生理痛や更年期障害があり、その重さには女性同士でも大きな違いがある。個が大切にされる社会とは、そうしたお互いの違いや弱みを認め合う社会でもあるのです」