債券の割合を「自分の年齢に合わせる」
株価の下落は時間が経てばいずれ回復するが、世界恐慌時の暴落が回復したのは25年後のこと。20代、30代ならいざ知らず、シニアには暴落したときに回復を待てるだけの時間がない。
ファイナンシャルプランナーの藤川太さんは「60才から始めると時間的余裕がなく、さらに投資初心者は少し下落しただけでも大きなショックを受けやすいため“心理的リスク許容度”も低い」と指摘する。
だが、リスク許容度が低い人でも投資で成功するコツはあると続ける。
「60才以降にデビューするなら大きく増やそうとするのではなく、大きな損をしないようにするのが大切です。それには、できるだけ運用効率のいい商品を選び、長く運用を続けること。オルカンのように株式100%の商品だけでなく、国内外の債券や不動産などに幅広く分散投資できる『バランス型』という商品を選びましょう」(藤川さん)
債券のリスクは低く、世界恐慌後も債券に分散投資した商品の評価額はわずか6年2か月で回復している。鬼塚さんは複数の商品を持つ場合、債券の割合を「自分の年齢に合わせる」のがいいと説明する。
「例えば60才なら、債券が60%、株式40%が目安です。国内外のさまざまな資産に分散投資するのが理想的ですが、新興国はハイリスク・ハイリターンなので、アメリカなどの先進国と日本の株と債券だけで充分です」(鬼塚さん)
とはいえ、リスクを抑えればリターンも低くなる。できるだけ老後資産に“ラストスパート”をかけたいなら、この限りではない。家計再生コンサルタントの横山光昭さんがアドバイスする。
「つみたて投資枠では金融庁が定めた一定の条件を満たす約280本の投資信託やETF(上場投資信託)が対象なのに対し、成長投資枠では債券が100%の投資信託や不動産の組み込まれたETFなども買えるので、あえて成長投資枠を使うのもいいでしょう。
60才以降も10年、15年と働く意思があるなら、多少のリスクを取ってでもオルカンやS&P500で積極運用するのもアリです」
※女性セブン2024年5月9・16日号