2009年に創業したTOKYO BASEの従業員数は現在約380人。出店を東名阪(東京、名古屋、大阪)に絞り、セレクトショップ「STUDIOS」、アパレルブランド「UNITED TOKYO」「PUBLIC TOKYO」など国内54店舗を展開する。創業者である谷正人社長は、「中価格帯以上のファッション企業の間で日本一をめざす」という壮大な目標を様々な媒体で公言している。
初任給40万円は、ユニクロを展開するファーストリテイリングの初任給30万円を上回り、業界最高水準の給与体系となる。この初任給アップには明確な狙いがあったという。
「これまで、『ファッションは好きだけど待遇面から就職先として選びにくい』という就活生が結構多かったんです。そうした方が“TOKYO BASEの給与体系なら好きなことを仕事にして稼ぐことができる”と前向きなマインドになってくれることが私たちの狙い。日本一のファッション企業になるために、初任給や全社員の給与ベースを日本トップの水準にするという会社の本気度も感じられて、社員のモチベーションもすごく上がりました」
「販売員」ではなく「営業社員」として
入社1か月で40万円の給料をもらう新入社員は実際にどのような仕事をしているのか。同社の新卒は入社後、1週間ほどの基礎的な研修を終えると全員が店舗に配属され、あらゆるノウハウを現場で学んでいく。規模によって異なるが、1店舗の社員は3〜10名程度だ。
「接客のマニュアルはなく、現場に出てひたすらOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の毎日で、まずは売上の多い店員の接客をよく見て学びます。それから自分の頭で考えてアクションを起こし、失敗や成功を繰り返して自分のスタイルを作っていきます。
弊社は人間関係がフラットで“教える文化”があり、若手社員が社内LINEで『ご飯一緒に行ってください』などと他店の成績優秀なスタッフを誘うこともあるようです。顔を合わせてコミュニケーションを重ねながら先輩社員のノウハウを学んでいます」