国内外で60店舗以上を展開、「中価格帯以上のファッション企業の間で日本一をめざす」と代表が公言するアパレル企業・TOKYO BASE(東京都港区)。今年3月に「初任給40万円」を導入して大きな話題となったが、実はそのほかにも数々のユニークな取り組みがあるという。同社の人事担当者にフリーライターの池田道大氏が聞いた。【前後編の後編。前編から読む】
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「初任給40万円」が話題のアパレル企業TOKYO BASEでは、「新卒1年目で年収800万円超え」の社員も存在するという。それを可能にするのが同社の「スーパースターセールス制度」だ。
同制度は、一定の基準を超えた売上の10%を給与として還元する仕組み。3月に初任給が40万円に上がったことで基準が改定され、現在は5段階中最高の「ファイブスターセールス」は年間売上2億円で年収2000万円、最も低い「スターセールス」は年間売上8000万円で年収800万円となる。TOKYO BASE人事部新卒採用/広報マネージャーの村瀬瑳映さんが語る。
「初任給改定前の昨年の実績では、新卒1年目の5名がスーパースターセールスの基準をクリアしました。内訳は4名がスターセールスで年収700万円(基準改定前の給与)、1名がツースターセールスで年収850万円(同)。やはり誰よりもお客様のことを考える時間が長く、どうやったらお客様に喜んでもらえるかを突き詰めて、自分のファンを増やしている社員がスーパースターセールスを実現しています」(村瀬さん、以下同)
同社の給与体系には、いかにもファッション業界らしいユニークな「手当」も存在する。
「ファッションに対する感度を上げるため、表参道にある本社から約半径3キロ圏内のファッション地区エリアに住む社員には毎月3万円の住宅手当が支給されます。該当するエリアは社長の谷(正人)が自分で歩いて回って決めました(笑)。
また、プロとして身なりも一流にするため、美容室やネイル、ホワイトニングなどに月2万円以上支出すると、1万円の美容手当が出ます。さらに今後の出店予定先である世界の都市の知見を増やすため、パリ、ロンドン、ミラノ、ニューヨーク、ロサンゼルスに渡航すると10万円、香港、上海、北京、シンガポール、シドニーに渡航すると5万円が支給される世界10大都市手当もあります」