最も大切にすべきは普通に接客して服を売りつけることではなく、顧客に「感動を与えること」であると村瀬さんは強調する。TOKYO BASEの現場で働く社員はワンオブゼムの「販売員」ではなく、自主性を持った「営業スタッフ」として積極的に顧客とコミュニケーションを図り、親密な関係性を築いていくという。
「当社は全社員がLINEワークスの営業アカウントを持ち、お客様と連絡を取り合って来店日時の相談などをしています。販促活動も基本的に個人の裁量で、インスタグラムやTikTokを駆使しで自由に行う。そうした営業活動を通じて、『顧客感動』を生み出すことが私たちの企業活動のベースです」
顧客が店員に魅せられてファンになることで、洋服を買うという行為が「感動体験」として胸に刻まれ、「またあそこで買いたい」と望むようになる。店員はファンを獲得すると売上がアップするうえ、ファンの数が増えれば増えるほど仕事が楽しくなり、モチベーションが向上してさらなる売上アップにつながる──。TOKYO BASE では、そんな好循環により社員1人あたりの売上高が同業他社よりはるかに高くなり、生産性の高さが企業業績を押し上げ、初任給40万円を可能にしている側面があるようだ。
新卒1年目で「年収800万円超」も
「ファッションビジネスはファンビジネスである」と言い切る同社の評価制度は結果主義だ。たくさんの顧客感動を生み出す社員は年次を問わず、どんどんステップアップする。
「私たちの考える結果主義はイコールお客様評価主義であり、いかにお客様から評価されているかで社員を評価します。結果を残していれば入社1年目からバイヤーと一緒に展示会にいって仕入れを担当したり、商品企画の検討会に参加して企画に携わったりすることができます。イベント企画なども含めて、新入社員でもできることは何でもやりましょうという感じですね」
旧態依然の企業では今も年功序列や低賃金に悩む新入社員が多いかもしれない。そうしたなか、年齢や学歴を問わず、誰でもキャリアアップに挑戦できることもTOKYO BASEの大きな強みである。しかも初任給40万円超えだけでなく、他社ではあまり見られない諸手当が強烈な武器となっている。