不動産に対してさらに強力な政策への期待
不動産に対する政策をみると、供給面では、今年1月に地方政府が国家の支持に値すると判断した案件をリストアップし、銀行に対してリストアップされた案件に対する融資を促すといった都市不動産融資協調メカニズムが実施されている。
需要面では、大都市を中心に課せられている厳しい購入制限が段階的に緩和されているが、4月に入り、長沙、北京、南京、成都をはじめ、多くの地域で、緩和を加速させる動きがみられる。そのほか、住宅ローン借り入れの際の頭金比率、ローン金利の引き下げ、公的住宅積立金による支援の拡大、補助金の支給などが従来より行われている。
例年通りであれば、中央政治局会議において、第1四半期の経済情勢を分析した上で政策の修正が示される。依然として回復の兆しが見られない不動産市場に対して、さらに強力な政策が実施されるだろうと予想する市場関係者は多い。
アジアの株式市場は巨額の資金を運用する欧米機関投資家たちの投資行動によって大きく左右される。彼らの運用資金が中国から日本に移動するといった大きな流れがこれまでの日本株の上昇を需給面から支えてきたが、それが変化するかもしれないという点で日本の投資家にとっても気になる動きだろう。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。