世界最大の市場に「異変」
中国では2023年に新車が前年比12%増の3009万台売れ、国別ランキングでは1位を堅持、そのうち電気自動車(EV)は24.6%増の669万台で、こちらも世界トップだ。EVの販売だけで日本の新車販売台数(477万台)を超える。
その世界最大の自動車市場でいま、異変が起こりつつある。
「中国でのEV販売は、戦国時代に突入した。値下げによる販売競争が激化し、先行するBYD(比亜迪汽車)や米テスラも安泰とは言えず、最終的にどこが勝ち残るか見えなくなってきた」
そう話すのは、中国・広州で機械メーカーを営む安江恒憲氏(72)だ。安江氏は中国人技術者を活用し、中国の自動車メーカーに最先端の設備を納入している。
その異変が、EV界のトップランナー・テスラの業績に影響を与え始めた。同社が4月23日に発表した2024年1~3月期決算は、売上高が前年同期比9%減の約213億100万ドル(約3兆3243億円)、純利益は55%減の11億2900万ドル(約1761億円)で、減収減益となった。
テスラの業績が落ち込んだ一因は中国メーカーの“値引き攻勢”に巻き込まれたことだ。
中国ではスマートフォン大手のシャオミが北京で最新鋭の工場を稼働させ、今年3月、EV事業に参入した。最低価格が約21万元(約440万円)に設定され、テスラの主力車「モデル3」より1割程度安く、高級モデルは航続距離が「モデル3」より長い。「それを脅威に感じたテスラが発売する前から値引きに転じた」(中国駐在日系企業幹部)のだという。