増配のインパクトは投資額が増えるほど大きくなる
配当株投資を始めた当初は、増配の恩恵を小さく感じるかもしれません。年間3万円の配当金を得られるようになり、仮に10%の増配があったとしても、増加額は3000円です。
この金額をどう考えるかには、個人差があると思いますが、配当株投資で大事なのは、増配の効果が大きくなるまで、諦めずに株を買って、持ち続けることです。受け取る配当金が大きくなるにつれて、増配の効果も大きくなり、同じ10%の増配でも、配当金が100万円ならば10万円、200万円ならば20万円になります(図参照)。
この10万円の増配分を自己資金の新規投入だけで賄おうとすると、配当利回り3%の銘柄でも300万円以上のお金が必要になりますから、企業による増配がいかに威力が大きく、いかに魅力的であるか……が理解できると思います。
こうした増配の恩恵を享受するためには、持ち株数を増やしていくことが「マスト」の条件となります。基本的に、株主還元に積極的な企業は増配する傾向にありますから、多少の凸凹はありながらも、業績が安定していて、株主に積極的に還元する企業の株を地道に買い進めていけば、投資額の増加に伴って、増配の恩恵を実感できる局面がやってきます。
その局面は、50万円→5万円、100万円→10万円など、それぞれの取り組み方によって異なりますが、ある程度まで配当金ダルマが育ってくれば、わずかな増配であっても、大きなインパクトを生み出します。
配当株投資で大事なのは、「どの局面になれば、自分は増配のインパクトを実感できるのか?」を具体的にイメージして、そこを目指して一歩一歩、着実に前を向いて歩み続けることです。
新NISAの非課税というメリットを活かしながら、そうした局面が来る日まで、コツコツと着実に持ち株数を増やしていけば、どこかのタイミングで、「あれ! こんな金額になっているな」と思わず頬が緩む瞬間が待っているのです。
増配額の「小ささ」を甘く見てはいけない
注目4業種の1株配の増加を見ると、三菱UFJフィナンシャル・グループが、「16円」→「41円」、NTTが「1.7円」→1株配「5円」など、小さな金額が並んでいるため、株式投資の経験がない人ほど、「一度にもっと増えないものかな」と考えてしまう傾向があるようです。
増配の「小さな金額」に惑わされてしまったのでは、配当株投資の本質を見誤ることになります。大切なのは、増配額ではなく、「増配率」で考えることです。