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【インボイス制度導入の影響か】「確定申告の還付金が振り込まれない」「消費税の督促状がきた」という人が続出 国税庁は「『自主申告』『自主納付』が大前提」と説明

確定申告の還付金が振り込まれない

 さらに、Aさんは税務署から告げられた内容についてこう説明する。

「e-Taxで確定申告をすれば例年1か月以内に還付金が振り込まれるのに、今年は振り込みがないので、それについても尋ねてみると、『消費税の納付が済んでいないので還付金の振込をストップしている』と言われました。還付金が振り込まれないのは個人事業主には死活問題です。消費税の納税の仕方を詳しく調べなかった自分も悪いかもしれないが、正直なところ納付方法の告知が十分だったとは思えない」

 Aさんは督促状がきた後、すぐに消費税の納税を済ませ所得税の還付金も振り込まれたというが、SNSには「今年はまだ確定申告の還付金が振り込まれない」といった声が5月になっても多数上がっており、現場に混乱が起きていることを窺わせる。税理士の相原仲一郎氏が語る。

「インボイス制度開始後、初めての確定申告ということで事務処理が増え、税務署の対応が遅くなっている可能性があります。税理士の間でさえインボイス制度は複雑だと言われるなか、分かりにくい国税庁のホームページを見るなどして自分で納税しなさいというのはあまりに酷だと思います。

 Aさんのようなケースでは、消費税の納付額と所得税の還付金との相殺は自動的に行なわれず、税務署で所定の手続きが必要になりますが、そういったことを税務署が親切に教えてくれるわけではありません。Aさんのほうから確認した時に丁寧に教えてもらえるかについても税務署ごとの対応によります。基本的には督促状などの通知が来て気付く人が多いでしょう。しかも、納付期限を大きく過ぎれば、当然加算税や延滞税などを課されます」

 納税方法の分かりにくさや告知が徹底されていないことについての不満の声は届いているのか。国税庁の広報担当者に聞いた。

「基本的に国税は『自主申告』『自主納付』が大前提となり、税納付が必要な人は自ら税務署などに出向いていただくかたちになります。ホームページでの告知や確定申告期間中に広報することで周知に努めていますが、そういったご意見もいただいているかもしれません」(国税庁広報広聴室)

 インボイス制度をめぐる混乱はまだ収まりそうにない。

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