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シニア世代がやりがちな「年金を繰り上げ受給してNISA投資」がオススメできない理由

年金は“一生モノ”の生活資金

 年金繰り下げのメリットは「リスクなしの増額」に留まらない。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんは「死ぬまでずっと受け取ることができること」を挙げる。

「新NISAが難しいのは、商品選びに加え、いつどのタイミングで売買するかを自分で判断し、管理しなければならないこと。たとえ投資が成功して資産が増えても、使い切ったら終わりです。

 一方で年金は繰り下げて増やした金額をずっと受け取ることができ、管理も国に一任できる。“一生モノ”の生活資金をなるべく多い年金で確保しておくという意味で、投資よりも繰り下げを最優先するべきでしょう」

 そもそも年金を1年繰り下げて得られる利益は8%以上。同等の割合を年金繰り下げ以上に短期間・ローリスクで得られる投資は存在しないと言っても過言ではないだろう。

 とはいえ、公的年金には、物価や賃金の上昇率よりも伸び率を抑える「マクロ経済スライド」という仕組みがあり、実質的な目減りは避けられない側面もある。

 また、繰り下げて年金が増額されると、その分税金や社会保険料の負担も増えることになるので、その点は留意しておきたい。

「少子高齢化により、年金の資金源である保険料を納める若者が減っている以上、将来的に年金が減額されることは避けようがない。

 そうした状況を鑑みると、必ずしも万人にとってギリギリまで繰り下げることがベストとは言いがたい。例えば、夫婦それぞれ健康で労働意欲もあって、仕事の収入で生活が成り立っているのであれば、わざわざ繰り下げる必要はない。“夫の年金額の方が多いから、夫だけ繰り下げた方がいいですか?”と聞かれることもありますが、男性の平均寿命は女性よりも短く、もし繰り下げても受給開始後すぐ亡くなってしまったら元も子もありません。

 夫の労働収入と年金、妻の労働収入は貯蓄し、妻の年金だけ新NISAに回すという方法もおすすめです。

 確かに投資にはリスクもありますが、3年前に64才で旧NISAで投資デビューし、現在は元本279万円に対し運用益59万円と、338万円もの資産をつくった人もいる。自分にとって確実な方法の見極めが潤沢な老後資産を築く近道だと言えます」(鬼塚さん)

※女性セブン2024年5月30日号

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