知らなければ恩恵を受けられない
AさんとBさんのようなケースは決して珍しくない。
2人の運命を分けたのは、「保険適用」に辿りつけたか否か。節約アドバイザーでファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんが言う。
「いびきの治療ではCPAP(シーパップ)という器具が使用されることがあり、睡眠時無呼吸症候群と診断されれば保険適用となります。
“病院にかかるほどではない”“美容医療のような自由診療で、高額な費用がかかるかもしれない”と臆している人ほど、保険適用の“恩恵”を受けられず不調に苦しんでいる。保険適用で受けられる治療を知っておけば、QOLも上がり経済的に健康寿命を延ばせるのです」
例えば頻尿や夜間頻尿。日中や夜中に何度もトイレへ行く過活動膀胱の場合、保険適用で治療を受けることができる。
「ボツリヌス毒素を膀胱壁(ぼうこうへき)に直接注射することで膀胱を弛緩させて過活動膀胱の症状を緩和させるボトックスや、内服薬などが対象です。頻尿で仕事に集中できなかったり、夜間に何度も目が覚めてしまって、日中にボーッとしてしまい生活に支障をきたすなら、早めに専門医に相談した方がいいでしょう」(丸山さん)
保険適用で受けられる治療は、大きな病を防ぐための「予防医療」としての役割も果たす。ファイナンシャルプランナーの横川由理さんが解説する。
「巻き爪や歯石除去などは予防医療の代表例です。巻き爪をかばってひざを痛めたり、歯石を放置して虫歯や歯周病になれば、命を脅かす重篤な病気のリスクになる。
病名がつく前の不調に、保険が適用される治療や薬を活用することは結果として、高額な医療費がかさむことも抑えられ、老後資産寿命も延ばします」